タンドール

6月26日 

 

 初めてタンドールの中に手を突っ込み、ナンを焼いた。あまり熱さは感じなかったが、手は赤くなった。指に微妙に生えている毛は残っている。タブレジさんとサベルさんの右腕は、日々タンドールに腕を突っ込んでいるせいで、腕毛が焼けてなくなり、つるつるになっている。徐々にタンドールの奥深くまで手を突っ込み、二人のように右腕をつるつるにしたい。

 

 仕事後にタブレジさんの19歳の息子、タスリムとチキンサーグワーラーを食べながら話す。タスリムは高校時代、1人の女の子を巡って友達と殴り合いの喧嘩をし、20日間の謹慎処分を受けたことがあると言っていた。父であるタブレジさんは特にタスリムを責めることはなかったという。

 

 レストランでの日々のおしゃべりからは、同僚たちの意外な一面を知ることができる。想像できない話ばかりで、毎日驚いている。思い返せばタブレジさんも、オプタスからかかってくる電話に対して怒鳴り散らしていることがあった。もしかしたら、喧嘩っ早い親子なのかもしれない。

 

 「また来週の水曜日に!」と言って店を去るとき、タブレジさんに呼び止められ、少々お小遣いをもらった。帰り道はディスコクラシックのセプテンバーを聴きながら帰った。