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復帰

6月6日

 

 前回のシフトから10日後にあたる、今週水曜日から、インド料理屋の仕事を再開する予定である。

 

 前回のシフトから今日までは、宿でビリヤードをし、図書館に行き、夜はビールを飲むというような生活を送った。

 

 スコットというスコットランド人青年と、タツキさんという流暢な英語を話す日本人が特にうまく球を突いていたので、何度か勝負を挑み、技を盗んだ。

 

 スコットはフレッドペリーのジャケットをはおり、リーバイスのズボンにアディダスのスニーカーというような恰好をしていて、オアシスとか、ストーンローゼズが好きそうな見た目である。しかし実際は、「ビートルズは許すけど、オアシスのようなポップスは好きではない。クラッシュとかセックスピストルズは好きだよ。」と言っていた。あとで、スミスとバセリンズはどう思うか聞いてみよう。「バセリンズはいいけど、スミスはダメ。」というような返事が返ってくるのではないかと思う。ロックの本場に生まれた青年の意見は面白い。僕もこれからは「オアシスなんて言うポップミュージックは好きではない。」というスタンスで生きていこうと思う。

 

 タツキさんは高校サッカー全国大会に出場した経験を持ち、英語もかなり流暢に話す。一緒にビリヤードをしていると、サッカーの話が尽きない。タツキさんの英語は二年間の英語のみの生活によって培われたものらしい。すらすらしゃべれるのは確かにかっこいいと思う。ただ、しゃべりが流暢ではないが、聞き取る能力が十分で、風変わりな英語で会話をするというのもかっこいいと思う。

 

 図書館では一人で住める部屋をネットで探したり、ブリスベンのことをあれこれ調べたり、少し本を読んだり、ただネットサーフィンをしたりした。一人部屋を早く見つけるべきだと思う。ちょっと宿での生活が窮屈になってきている。同じ部屋の人と仲良くなれそうにない。移動して環境を変えて気分転換したい。「日本人はいい人たちだ。」と言って話しかけてきたドイツ人青年にもなぜか少し腹が立っている。「日本人はいい人たちだ。」と言われ、反射的に「どこの国でもいい人と悪い人がいる。」と思ってしまった。どうでもいいことに腹を立て始めている。週末までに引っ越したい。

 

 宿をシェアハウスに変えて気分転換したいと思っているこの頃だが、週末はお酒を飲んで楽しく過ごせた。金曜日はココというフランス人青年と共に彼の友達の家に遊びに行った。ローマストリートパークに立つ13階建てのマンションの最上階で、安いワインを飲んだ。午前2時頃、ココは酔っ払い、「ハングリージャックスに行こう。」と言い出す。雨の中二人で真夜中のブリスベンを歩く。ココはDJでベーシスト。夜の街をココと歩くのは楽しい。夜中のハングリージャックスはうまい。「これ以上飲むとストリップクラブに行って、コカインをやって、数百ドル失うことになるから帰ろう。」とココがまんざらでもない表情で言うので宿へ向かった。

 

 土曜日は、ココと共に宿のパーティに参加。二次会で近くのLefty’sというバーへ。ロカビリーやカントリーのバンドが演奏していた。お客さんは会社員が多かったのではないかと思う。何人かと話したが、会社員だという人が多かった。半ズボンでキャップをかぶったおじさんも何人かいたが、なんとなく浮かされているような気がした。ちょっとgoody-goodyした雰囲気のバーだった。ココは以前にストリップクラブで接待してもらった女の子に偶然遭遇し、電話番号を交換していた。

 

日曜日はココとスコットと三人で、シティーバックパッカーというところに遊びに行った。ココとバーなどによくあるサッカーゲームを行った。彼のパスをつなぐ技術に翻弄された。宿内の小さなバーだったが、ライブミュージックもあり、なかなかいい雰囲気。ギターの弾き語りをしていたのは、土曜の夜に見たバンドのギタリストだった。スコットはウィスキーコークをピッチャーで頼み、「みんなで飲もう。」と言っておごってくれた。スコットと話していると、英語しか話せない人の不安や異文化に対する好奇心のようなものを感じることができる。母語以外の言語を話す経験がない、しかし英語が母語であるがゆえに、異国の人々と不自由なく話せるというのも悪くないと思う。スコットが日本に来たら、本当に戸惑うだろうし、いい経験もできるのではないかと思う。生まれ変わったらスコットになって、日本語を勉強して、日本に留学したい。